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核燃料サイクル施設の立地地域と電力の消費地域の対話
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開催報告(岡山会場)
 平成26年4月に新しい「エネルギー基本計画」が閣議決定され、平成27年7月に長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)が取りまとめられました。
 日本におけるエネルギーの現状や将来の姿について、化石エネルギーや再生可能エネルギー、原子力等のエネルギーミックスに対して、ご理解を深めていただくために、また電力消費地域(岡山)の方々が、核燃料サイクル施設の視察や立地地域(青森)の方々との対話等を通じて、実際に知り、感じたことを中心に皆様とともに考えていただくため、平成28年11月12日、「フォーラムin岡山 日本のエネルギーを考える~核燃料サイクル施設の立地地域と電力の消費地域の対話~」を開催しました。

 第一部では、「エネルギーミックス」をテーマに、資源エネルギー庁から「我が国のエネルギー政策について」、日本のエネルギー事情やそれを解決するための具体的な取組内容についてご説明しました。その後、特別講演として、弁護士 住田裕子さんから、「次の世代へのメッセージ ~今、時代の変わり目~」と題し、「科学の特徴と科学が併せもつリスク、原子力やエネルギーを取り巻く環境」等についてご説明いただきました。
 第二部では、核燃料サイクルについて、学識者および核燃料サイクル事業者による講演、青森県六ヶ所村やむつ市の核燃料サイクル施設を視察した消費地域の方によるプレゼンテーションが行われ、その後のパネルディスカッションでは、核燃料サイクル施設立地地域の住民の方々にも加わっていただき、それぞれの立場の方々が対話を通じて、核燃料サイクルについての活発な議論を行いました。
開催日時
平成28年11月12日(土)
開場 13:00 / 開会 13:30 / 閉会 16:50(予定)
会場
TKP岡山会議室2階 ホール2A
〒700-0826 岡山県岡山市北区磨屋町1-6岡山磨屋町ビル2F
アクセス JR岡山駅東口徒歩7分
プログラム
13:30
主催者挨拶等
  • 覺道 崇文(経済産業省資源エネルギー庁原子力立地・核燃料サイクル産業課長)
【概要】
 日本は、エネルギー源の多くを海外に頼っています。エネルギー自給率も「OECD」34カ国中ワースト2位の低い水準です。震災以降、火力発電の割合が増加したことで、電気料金の値上げや二酸化炭素の増加などの課題もあります。安全性(S)、エネルギーの安定供給(E)、経済効率性の向上(E)、環境への適合性(E)の「3E+S」を政策の基本とし、多様なエネルギー源を組み合わせて供給する「エネルギーミックス」を目指して取り組んで行きたいと思います。
13:50~14:40
第一部 講演(「次の世代へのメッセージ~今、時代の変わり目~」)
  • 住田 裕子氏(弁護士)
【概要】
 「放射線」は危険と怖がられ、原発反対の方もいますが、放射線は自然界にも存在し、がんの治療にも使われます。科学は便利ですが、リスクも併せ持つものです。だからこそ安全技術を磨いていかなくてはなりません。賢く、正しく恐れる必要があります。化石燃料は多くの二酸化炭素を排出し、現状では自然エネルギーのコストが高いこと考えると、使わないで済むにこしたことはありませんが、現段階では原子力も有力なエネルギー源と言えます。
14:45~15:20
第二部 講演
  • 佐藤 治夫氏(岡山大学大学院自然科学研究科 准教授)
  • 相沢 章雄氏(日本原燃株式会社)
  • 三好 悟氏(リサイクル燃料貯蔵株式会社)
【概要(学識者講演)】
 核燃料サイクルとは、原子力発電所で使い終えた燃料(使用済燃料)を再処理し、取り出したウランとプルトニウムを再利用することです。
 使用済燃料の95~97%が再利用できることから、資源を繰り返し使うことができ、エネルギーを安定供給するための有効な手段として期待されています。核燃料サイクルの特徴について正しく理解し、メリットとデメリットを考えていくことが大切です。
15:20~15:45
消費地域の方によるプレゼンテーション
  • 天崎 滉介氏(消費地域大学生)
  • 奥田 二三子氏(消費地域主婦)
  • 中山 勇祐氏(消費地域大学生)
15:45 休憩
15:55~16:50
パネルディスカッション
<パネリスト>
  • 佐藤 治夫氏(岡山大学大学院准教授)
  • 天崎 滉介氏(消費地域大学生)
  • 奥田 二三子氏(消費地域主婦)
  • 中山 勇祐氏(消費地域大学生)
  • 小泉 陽大氏(立地地域住民)
  • 菊池 トシエ氏(立地地域住民)
  • 八木橋 清三氏(立地地域住民)
  • 相沢 章雄氏(日本原燃株式会社)
  • 三好 悟氏(リサイクル燃料貯蔵株式会社)
<ファシリテーター>
  • 大橋 由佳氏(フリーアナウンサー)
■パネルディスカッションの概要
 パネルディスカッションでは、消費地域の皆さんや核燃料サイクル施設の立地地域の皆さん、学識者、核燃料サイクル事業者がそれぞれの立場から率直に意見を交換しました。今回は、消費地域の方が関心を持ったことについて、それぞれ回答いただく形で進行しました。
 消費地域の3人の方からは、まず「核燃料サイクル施設の安全管理について教えてください」と質問がありました。事業者から「安全に対する取り組みについて、ジェット機が落ちてきても壊れない強固な施設であるなど設備面の取り組みや、施設内から放射線を外に出さないなどの放射線管理に関する取り組み、テロ対策等危機管理に対する取り組み」について説明がなされました。続いて、「今回実際に施設を見たり、意見交換することを通じて、学校など教育の場でもエネルギー教育が必要」との発言があり、学識者から「学習指導要領が改訂されても、なかなか実践されていないという実情もあるようなので、引き続き考えていかなくてはならない問題」という回答がありました。さらに、「日本のエネルギーや原子力について、全く知らないので、原子力について賛成か反対かを決めることが必要だと思って参加しました。しかし、参加してからプレゼンでもお話させていただいたとおり、賛成か反対かというのを決めることが大事なのではなく、一人一人が日本のエネルギー供給構造など、そもそもエネルギー問題について関心を持つこと、理解することが一番大切だということを学びました」という発言があり、立地地域の方から「立地地域に住んでいて非常によく思いますが、反対か、賛成かを先に出してしまうと、まず反対ありきの論理になったり、賛成ありきの論理になったりしがちです。そうなってしまうと、その本質が見えてこないという可能性があります。まず反対か、賛成かではなくて、必要性があるのかどうなのか、それが自分の住んでいる地域に対して、メリットがあるのか、もちろん日本の国に対するメリット・デメリットも大事ですが、まずわれわれが住む地域に対してメリット・デメリットはどうなのかというのを、きちんと整理をして、それで物事を進めていくのがいい」などの回答がありました。また「核燃料サイクル施設の誘致計画、誘致が決定してから施設が建つまで、スムーズにいったのでしょうか」という質問に対しては、「誘致が決まる前から、話が浮上してきてからも、村では大混乱が起きました。でも、勇気ある決断をした村長がいまして、その後も、賛成、反対の論争が何年も続きましたが、現在は収束をしましたし、皆さんが地元で仕事に付けるようになり、また子どもたちも進学できる状況になっております。」といった回答がありました。その他、核燃料サイクル施設の立地に伴う波及効果の質問については、立地地域の方から「経済的なものや雇用が増える他に、子どもの進路の選択肢が広がったということも大きいです」などの回答がありました。限られた時間ではありましたが、会場の皆様と共有したい話題について議論を深めました。
【参加された消費地大学生の主な意見】
  • 核燃料サイクル施設立地地域の方々が、核燃料サイクル施設を受け入れている感じだったのが印象的でした。日本原燃(株)(青森県六ヶ所村)が年2回六ヶ所村全戸を訪問して、事業状況を説明して意見を聞いていると知り驚きました。
  • 今回の経験を通して、エネルギーについて関心を持つことが大切だと感じました。子供の頃から知識に触れられる場があるといいですね。
  • 電気を使えることが当たり前だと思っていました。しかし、核燃料サイクル施設立地地域の住民の方の理解と事業者の方の努力があったからこそ、エネルギーが作られ、私たちが利用できているのだと感じました。消費者ももっとエネルギーに関心を持つべきですね。
16:50 閉会

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【当日配付資料】(PDFファイル)

主催:経済産業省 資源エネルギー庁
後援:一般社団法人日本経済団体連合会/日本商工会議所/公益社団法人経済同友会/全国商工会連合会
後援(札幌):北海道経済連合会/一般社団法人北海道商工会議所連合会/北海道経済同友会/北海道商工会連合会
後援(岡山):中国経済連合会/岡山県商工会議所連合会/一般社団法人岡山経済同友会/岡山県商工会連合会

日本のエネルギーを考える フォーラム 事務局
一般財団法人日本立地センター エネルギー室
TEL:0120-689-558(平日午前9:30~17:30)FAX:03-3518-8970
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