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核燃料サイクル施設の立地地域と電力の消費地域の対話
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開催報告(札幌会場)
 平成26年4月に新しい「エネルギー基本計画」が閣議決定され、平成27年7月に長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)が取りまとめられました。
 日本におけるエネルギーの現状や将来の姿について、化石エネルギーや再生可能エネルギー、原子力等のエネルギーミックスに対して、ご理解を深めていただくために、また電力消費地域(北海道)の方々が、核燃料サイクル施設の視察や立地地域(青森)の方々との対話等を通じて、実際に知り、感じたことを中心に皆様とともに考えていただくため、平成28年10月22日、「フォーラムin札幌 日本のエネルギーを考える~核燃料サイクル施設の立地地域と電力の消費地域の対話~」を開催しました。

 第一部では、「エネルギーミックス」をテーマに、資源エネルギー庁から「我が国のエネルギー政策について」、日本のエネルギー事情やそれを解決するための具体的な取組内容についてご説明しました。その後、特別講演として、NPO法人国際環境経済研究所 理事・主席研究員 竹内純子さんから、「どうなる?暮らしのエネルギー~電気代、自由化、温暖化~」と題し、再生可能エネルギー固定価格買取制度に伴う賦課金や電力自由化に伴う消費者負担、地球温暖化問題についてご説明いただきました。
 第二部では、核燃料サイクルについて学識者、核燃料サイクル事業者による講演、青森県六ヶ所村やむつ市の核燃料サイクル施設を視察した消費地域大学生によるプレゼンテーションが行われ、その後のパネルディスカッションでは、核燃料サイクル施設立地地域の住民の方々にも加わっていただき、それぞれの立場の方々が対話を通じて、核燃料サイクルについての活発な議論を行いました。
開催日時
平成28年10月22日(土)
開場 13:00 / 開会 13:30 / 閉会 17:00
会場
TKP札幌ビジネスセンター赤れんが前5階 はまなす
〒060-0004 北海道札幌市中央区北4条西6丁目1 毎日札幌会館 5F
アクセス JR札幌駅南口徒歩5分
プログラム
13:30
主催者挨拶等
  • 小澤 典明(経済産業省資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官)
【概要】
 安全性(S)、安定供給(E)、経済効率性の向上(E)、環境への適合(E)、あわせて「3E+S」は、国のエネルギー政策の柱です。
 現在は火力発電が増え、石油・ガスなどエネルギー源を輸入に頼る日本のエネルギー自給率は6%に低下し、電気料金の上昇や二酸化炭素の増加などが課題になっています。多様なエネルギー源をバランスよく組み合わせて供給する「エネルギーミックス」を目標として、達成に向けて取り組んでいます。
13:50~14:45
第一部 講演(「どうなる? 暮らしのエネルギー ー電気代、自由化、温暖化ー」)
  • 竹内 純子氏(NPO法人国際環境経済研究所 理事・主席研究員)
【概要】
 2015年度の電気料金は震災前に比べ、家庭用で約20%、産業用で約30%も上昇しています。要因は輸入燃料費の増加と、再生可能エネルギーの推進を応援する「再生可能エネルギー固定価格買取制度に伴う賦課金」です。
 賦課金は今後も引き上げが予想され、諸外国の例では、電力自由化で電気代が上昇したケースもあります。日本は、「3E+S」のバランスを超長期の時間軸で考える必要があります。
14:45~15:20
第二部 講演
  • 杉山 憲一郎氏(北海道大学名誉教授)
  • 鈴木 克彦氏(日本原燃株式会社)
  • 工藤 一郎氏(リサイクル燃料貯蔵株式会社)
【概要(学識者講演)】
 スイスは日本と同様、エネルギー資源が乏しく地殻変動や地震活動が活発ですが、5基の原子炉を稼働し、使用済燃料の最終処分場建設に向けて研究が進んでいます。日本でも処分地の科学的有望地の検討が進められています。
 核燃料サイクルは、将来的に高速増殖炉サイクルが実用化されれば、一層のエネルギー源の再生・活用ができると考えています。
15:20~16:00
消費地域学生によるプレゼンテーション
  • 椎葉 麻美子氏(消費地域大学生)
  • 田中 南奈氏(消費地域大学生)
  • 佐々木 みさほ氏(消費地域大学生)
  • 九鬼 静香氏(消費地域大学生)
  • 沖 ひなの氏(消費地域大学生)
16:00 休憩
16:10~17:00
パネルディスカッション
<パネリスト>
  • 杉山 憲一郎氏(北海道大学名誉教授)
  • 椎葉 麻美子氏(消費地域大学生)
  • 田中 南奈氏(消費地域大学生)
  • 佐々木 みさほ氏(消費地域大学生)
  • 九鬼 静香氏(消費地域大学生)
  • 沖 ひなの氏(消費地域大学生)
  • 種市 治雄氏(立地地域住民)
  • 伊藤 夏子氏(立地地域住民)
  • 堀内 喬氏(立地地域住民)
  • 鈴木 克彦氏(日本原燃株式会社 理事 経営本部 企画部長)
  • 工藤 一郎氏(リサイクル燃料貯蔵株式会社 総務部部長(広報担当))
<ファシリテーター>
  • 大野 真奈氏(MCミューズ アナウンサー)
■パネルディスカッションの概要
 パネルディスカッションでは、消費地域の学生や核燃料サイクル施設の立地地域の皆さん、学識者、核燃料サイクル事業者がそれぞれの立場から率直に意見を交換しました。今回は、消費地域の学生が関心を持ったことについて、それぞれ回答いただく形で進行しました。
 消費地域の5人の学生からは、まず「核燃料サイクル施設がなぜ六ヶ所村に集中しているのか」と立地の経緯についての質問がありました。事業者から「複数の候補地は上がっていましたが、むつ小川原開発計画が難航していたことや広大な工業用地がある点、地盤が安定している点、港が確保できるといった点から、電力事業者を束ねる電気事業連合会より青森県に申し入れをさせていただいたというのが発端です」という説明がなされました。
 続いて、「核燃料サイクル施設を受け入れるまで、住民の方々は何度も話し合いを行うなどして現在に至っていると思うのですが、その経緯を教えてください」との質問があり、立地地域の方から「最初は知識もなく、行政や事業者が行う説明会に参加しても何を言っているのかわからなくて、反対派の方々の意見によってしまうようなこともありましたが、説明会などに繰り返し参加することで少しずつ理解することができました」という回答がありました。 さらに他の学生から、誘致後の村の環境変化などについて「誘致の結果、医療や教育が充実したというのを聞いたのですが、昔と今とで、何か考え方や環境がどのように変化したのでしょうか」という質問があり、立地地域の方から「出稼ぎがなくなったということが一番ですね。
 それと、教育の面でいいますと、最初に高校ができて、進学率もアップし、地元で働けるようになりました」などの回答がありました。その他、核燃料サイクルに関してわかりやすく説明するポイントについて、「化学の接点が少ない方にこのような核燃料のサイクルなどの説明をする時の工夫点について教えてほしい」との質問があり、事業者から「技術用語を極力使わない。皆さんが、やはり日常生活でなじむような言葉にできるだけ置き換えるということが必要」などの回答がありました。
 最後に若い世代へのメッセージということで、「立地地域の住民の皆さんの気持ちは、消費地域の住民に簡単には理解できないと思います。私たち学生や若い世代へのメッセージをお願いします」との発言に対して、「リスクコミュニケーションの重要性が明らかになったのではないでしょうか。六ヶ所村には非常に明るい未来があると、私自身が信じて、これを次の世代に引き継いでいく責任が私にはあると思っています。」といった回答がありました。限られた時間ではありましたが、会場の皆様と共有したい話題について議論を深めました。
【参加された消費地大学生の主な意見】
  • 核燃料サイクルは、立地地域だけでなく、電気を利用している私たち全員の問題です。イメージにとらわれず正確な情報を得て判断していきたい。
  • 説明会などに何度も足を運び、自分で誘致を決断したという地元の方のお話を聞いて、私も自分の言葉で身近な人に伝えながら核燃料サイクルについて考えていきたいと思いました。
  • 六ヶ所村の再処理工場を視察して、平和利用の観点でIAEAの査察官が24時間365日常駐し、テロ対策の視点から厳重な警備や安全管理体制がとられていることに驚きました。
  • 「核燃料サイクル施設を受け入れたことが誇らしく、誘致を決断した当時の人々に感謝している」という地域の皆さんの言葉が印象的でした。
  • どんな発電方法にもメリットとデメリットがあり、原子力に賛成か反対かだけではなく、エネルギー全体について考えることこそが大切だと思います。
17:00 閉会

写真

【当日配付資料】(PDFファイル)

主催:経済産業省 資源エネルギー庁
後援:一般社団法人日本経済団体連合会/日本商工会議所/公益社団法人経済同友会/全国商工会連合会
後援(札幌):北海道経済連合会/一般社団法人北海道商工会議所連合会/北海道経済同友会/北海道商工会連合会
後援(岡山):中国経済連合会/岡山県商工会議所連合会/一般社団法人岡山経済同友会/岡山県商工会連合会

日本のエネルギーを考える フォーラム 事務局
一般財団法人日本立地センター エネルギー室
TEL:0120-689-558(平日午前9:30~17:30)FAX:03-3518-8970
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