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機関誌「産業立地」バックナンバー一覧

機関誌「産業立地」

VOL.60 No.4 2021年7月号
≪目次≫
視点
地域の持続的発展に向けた支援人材のあり方について考える
宮崎大学 地域資源創成学部 教授 丹生 晃隆

談話室
 渥美 巖・東松島市長インタビュー
―SDGs推進で「全世代グロウアップシティ」の実現へ―
東松島市長 渥美  巖
聞き手:一般財団法人 日本立地センター 専務理事 上野 透

特集
地域の持続可能な発展を支える産業振興
 
一般財団法人 日本立地センター 関東地域政策研究センター センター長 長岡 俊雄
一般財団法人 日本立地センター 企画調査室 次長 渡邉 章央
 
オンラインSDGsプラットフォームが切り拓く持続可能な社会
法政大学 デザイン工学部 建築学科 教授 川久保 俊
 
地域経済の安定性と収益性を目指すコロナ禍を踏まえた地域経済構造分析
岡山大学大学院 社会文化科学研究科(経済学系) 特任教授 中村 良平
 
地域経済レジリエンスを高めるアプローチについて
拓殖大学 政経学部 教授 山本 尚史

賛助会員を訪ねて
福井県 産業労働部長 吉川 幸文
聞き手:一般財団法人 日本立地センター
理事・産業立地部長(現 常務理事) 高野 泰匡

誘致人列伝
茨城県笠間市 市長公室 企業誘致・移住推進課長 滝田 憲二 氏

新規賛助会員紹介
徳島県つるぎ町

イノベーションネット通信
イノベーションネットアワード2021 受賞プログラム・受賞者とその取組み

資料
 グローバル・ネットワーク協議会事業の成果と今後の地域中堅・中小企業支援の在り方
前 経済産業省 地域経済産業グループ 地域企業高度化推進課長 前田 博貴

企業立地の動き
 2021年4月・5月分(89件)

伏流水

≪特集≫
地域の持続可能な発展を支える産業振興

【持続可能な地域づくりに必要なものとは】
 持続的な存在であることが大前提とされてきた地域に向けて、最初の警鐘を鳴らしたのが、2014年の日本創成会議による「消滅可能性都市」である。本格的な人口減少社会の到来は、地域の持続可能性を脅かすものとして、当時衝撃をもって受け止められた。他方、言葉としての“持続可能性”はその後、環境保全や都市開発、産業振興を含めた社会発展のキーワードへと視野を広げていき、今日では未来志向的な意味合いで使われることも多くなった。
 こうした変遷の是非はさておき、地域の持続可能性を担保するものとは一体何なのか。人口か、あるいは財政か、都市開発等のインフラか。いずれも地域の行く末を左右する要素ではあるが、どれか一つに絞れるものではない。むしろ重要なのは、変化に対する柔軟な適応力であろう。地域とは元より変転するものであり、その特性の中には、文化として受け継がれるものもあれば、住民や企業の入れ替わり・代替わりによって変わっていくものもある。そうした変化に向き合い、そのつど最適な体制や構造を選び取ることができれば、地域は持続的な存在であり続けられるはずだ。
【求められる企業側の主体的な取り組み】
 現在、持続可能性の理念は、経済・社会・環境の3側面による統合的発展の指標であるSDGsへと展開され、国内でもムーブメント的な広がりを見せている。「持続的かつ強靭(レジリエント)」な社会の構築を指向するSDGsは、政策横断的なインパクトがあり、自治体が施策を提示する際にSDGsの17のゴールと紐付ける動きも定着しつつある。
 一方、地域の持続可能性を高めるには、行政を含めた様々なプレイヤーの協働が不可欠である。とりわけ産業の土台を支える個々の企業においては、時代の潮流であるコーポレートガバナンス(企業統治)の変革や社会的責任(CSR)の強化、SDGsの実践などを通じ、地域の持続的発展に寄与することが期待されている。
 しかし、人材・資金面の制約や理解不足もあって、企業側の主体的・能動的な取り組みはまだ不十分との指摘も多い。企業価値の創造とビジネス機会の創出を結び付け、事業戦略に組み込む動きを地域全体に浸透させる必要がある。
 こうした現状認識のもと、本特集では、地域の持続可能性を高めるための産業のあり方や企業へのアプローチについて、学識者の方々より様々なヒントをご提示いただいた。併せて、本財団と経済産業省 関東経済産業局が共同で実施してきたSDGs関連の事業についても概括している。
 現下のコロナ禍も含めて、地域の基盤を揺るがすリスクが次々と顕在化し、日常生活から世界経済に至るまで、従来のスタイルが見直される今だからこそ、地域の未来へと続く道筋をじっくりと見定めたい。
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