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機関誌「産業立地」バックナンバー一覧

機関誌「産業立地」

VOL.59 No3 2020年5月号
≪目次≫
視点
テレワークが生み出す新たな社会
日本テレワーク学会 会長/明治大学 名誉教授 市川 宏雄

特集
テレワーク導入による地域産業振興
テレワークの現況と地域の取組
一般社団法人 日本テレワーク協会
専務理事 田宮 一夫

「ワーケーション」の導入で地域と産業を変える
~長野県が推進する「信州リゾートテレワーク」~
一般財団法人 日本立地センター
企画調査室 渡邉 章央

対話と交流から生まれた「テレワークの島」
~壱岐テレワークセンターを核とした産業創出~
一般財団法人 日本立地センター
企画調査室 渡邉 章央

IoTとテレワークで地方創生を担う
~株式会社ビックボイスの事業展開~
一般財団法人 日本立地センター
産業立地部 藤田 成裕

テレワーク推進に向けた総務省の政策展開
総務省 情報流通行政局 情報流通振興課
情報流通高度化推進室

企業立地の動き
2020年2月・3月分(80件)
産業立地部

資料
2019年(1月~12月)工場立地動向調査結果(速報)
経済産業省 地域経済産業グループ
地域企業高度化推進課

センターニュース
一般財団法人 日本立地センター 令和2年度 各種事業のお知らせ
編集部

伏流水
≪特集≫
テレワーク導入による地域産業振興
(産業立地2020年5月号特集より)

【普遍化するテレワーク】
 テレワークを軸とする今回の特集だが、2月初旬の企画段階において、現下の新型コロナウイルスの感染拡大、それに伴う在宅勤務への社会的要請、有効策としてのテレワークの本格普及といった流れを見越していたわけではない。むしろワークライフバランスの実現、人口減少下における労働力人口の確保、地域活性化に寄与する働き方改革実現の切り札といった従来のテレワーク像に基づき、その導入を産業振興の一方策とするためのヒントを提示できれば、というのが当初の企画主旨であった。しかしながら、安閑としていられたのも束の間、取材や執筆を続けるうちに、国内の感染者数は日増しに増加し、それに応じてテレワーク自体が企業の事業継続における必然性や切迫感を伴うキーワードへと変容していった。"後押し"という言い方は決して適当でないが、今回のコロナ禍が我が国における働き方の転換点となったことは間違いない。
 さて、コロナ禍が一旦収束したとしても、経済活動の早期再開や都市封鎖の緩和による第二波、第三波の到来も危惧されるなど、被害拡大のリスクは依然として高いとされる。新型コロナウイルスとの共存を余儀なくされる社会において、テレワークはもはや特別な働き方ではない。そして、働き方が企業組織のあり方と不可分である以上、テレワークの普遍化は企業立地にも何らかの影響を及ぼすと考えるのが自然であろう。

【テレワーク導入を産業振興の契機に】
 それでは、テレワークを取り巻く新たな動向を産業振興に取り込むには、どのような取組が必要となるのか。先駆的に取り組んできた地域や企業の事例は、その糸口を探るうえで今なお有効である。
 今回の特集では、はじめに(一社)日本テレワーク協会より大局的な見地からテレワークの現状についてお話しいただき、続いてテレワーク導入の先進地から、「信州リゾートテレワーク」として県全域で拠点整備を進める長野県、「テレワークの島」として全国から視察が相次ぐ長崎県壱岐市にご協力いただき、これまでの取組の経緯を辿った。また、テレワークを活用し、北海道を中心に地方拠点を展開する㈱ビックボイスには、IT企業の視点から進出条件等についてお話を伺い、最後にテレワーク普及を推進する総務省からも、新型コロナへの対応も含めた今後の政策展開についてご説明いただいた。
 コロナ禍による社会と産業の動揺はしばらく収まりそうにない。しかし、揺れ動く最中だからこそ、この先を見通そうと試みることがいっそう重要となる。今号以降も、読者の皆様と共に、変わりゆく企業立地のあり方に目を凝らしていきたい。
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