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機関誌「産業立地」バックナンバー一覧

機関誌「産業立地」

VOL.61 No.1 2022年1月号
≪特集≫
デジタル時代における地域産業振興の新展開

【動き出す「デジタル田園都市国家構想」】
岸田政権が提唱する「新しい資本主義」、その実現を担う成長戦略の柱とされるのが「デジタル田園都市国家構想」である。2021年12月、本構想の関連施策の全体像が提示され、2021年補正予算と2022年当初予算を合わせて5.7兆円を投じることが発表された。新型コロナ対策予備費や防衛費を上回る金額から、その本気度が伝わってくる。
同構想の背景にあるのは、コロナ禍を契機として、世界規模で加速するデジタル化の流れと、それに大きく遅れを取っているわが国の社会・産業に対する強い危機感だ。産業に限っても、企業が事業環境の激しい変化に対応し、今後も生き残っていくためには、デジタル投資を通じて自身の組織やビジネスモデルを変革し、新たな価値の創出に活用することが不可欠、というのが世界共通の認識となっており、このことが「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」が盛んに喧伝される所以とされている。

【デジタル化は浸透すれども、DXは広がらず…の現状】
とはいえ、こうした国の危機感を企業はどこまで共有できているのか。各種の調査結果を見ると、デジタル化への取組意識こそ徐々に浸透してきたが、その先のDXを視野に入れた動きはまだまだ不十分だ。一例として、総務省の『令和3年版 情報通信白書』を見ると、大企業の4割、中小企業の7割が「DXを実施していない、今後も予定なし」と回答しており、またDXが比較的進んでいるとされる東京23区内においても、中小企業のDXの実施率は2割強に留まるという。デジタル化への取組がDXの基盤づくりに繋がるとはいえ、日本がデジタル先進国の後塵を拝する中で、巻き返しには程遠いと言わざるを得ない。
加えて、日本企業におけるデジタル化の阻害要因については、デジタル投資への消極性、業務改革を伴わない小手先のデジタル投資、デジタル人材の不足と偏在、過去の成功体験への固執、デジタル化に対する根強い不安感・抵抗感、不十分なデジタルリテラシー等々、様々な分析がなされてきた。国による施策がこうした複合的な要因をどこまで解きほぐせるのかも、また未知数である。

【デジタル時代に臨む地域発の取組への期待】
デジタル化による変革の断行か、はたまた現状維持という名の後退か。待ったなしの状況において、個々の地域に目を凝らすと、産業のデジタル化に向けて奮闘する様々な姿が見られる。そこで本号では、そうした動きの中から、東京都における中小製造企業向けのローカル5G導入によるスマート化支援、山形県での産官学金連携によるAI人材の育成、佐賀県による産業DXの推進という3つの事例について、現場からの生の声をお寄せいただいた。デジタル時代に臨む地域発の取組から、日本企業の底力を引き出すためのヒントが見えてくるはずだ。



≪目次≫

視点
地域とともに、未来を創る
一般財団法人 日本立地センター 会長(日本商工会議所 会頭) 三村 明夫


新春対談
経済産業省 経済産業政策局 地域経済産業グループ長/関東経済産業局長 濱野 幸一
一般財団法人 日本立地センター 理事長 平井 敏文

特集
デジタル時代における地域産業振興の新展開

東京都におけるローカル5G導入を通した中小製造企業のスマート化支援の現状
公益財団法人 東京都中小企業振興公社 事業戦略部 経営戦略課 内藤 洋輔

山形県の未来を高校生が変える!「やまがたAI部」の取組
山形大学 エンロールメント・マネジメント部 教授(山形県 高等学校長会 元会長) 佐藤 俊一

佐賀県における産業DXの推進とスタートアップの発掘・育成
 ―地方だからこそ可能なイノベーションエコシステム形成へ向けて―
佐賀県 産業労働部 産業政策課 DX・スタートアップ推進室長 北村 和人


賛助会員を訪ねて
群馬県 産業経済部長 鬼形 尚道
聞き手:一般財団法人 日本立地センター 常務理事・産業立地部長 高野 泰匡

JILCレポート
2021年度新規事業所立地計画に関する動向調査結果
一般財団法人 日本立地センター 企画調査室 次長 渡邉 章央

誘致人列伝
鹿児島県 商工労働水産部 産業立地課 企業誘致係 主事 上野 祐貴 氏

イノベーションネット通信
地域振興のテーマは何ですか?成功のヒントは、ここにあります!
全国イノベーション推進機関ネットワーク 事務局長代理 渡辺  博
事務局参与 梶川 義実

企業立地の動き
2021年10月・11月分(90件)

伏流水


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