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機関誌「産業立地」バックナンバー一覧

機関誌「産業立地」

VOL.60 No.5 2021年9月号
≪特集≫
物流新時代の幕開けと地域づくり

【社会インフラとしての物流の重要性】

 人口減少の本格化、災害の激甚化・頻発化、デジタル化・イノベーションの強化、地球環境の持続可能性の確保など、我が国が様々な課題に直面する中、我々の生活や企業の事業活動を支える社会インフラとして、物流の重要性が再認識されている。
 この動きをより顕著なものとしたのは、言うまでもなく、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大である。外出や移動の自粛が要請されたことで、従来からのEC(電子商取引)市場の急成長に拍車をかける形で、巣ごもり消費等により通販需要が伸長し、宅配便の取扱量が増加。これに一時停滞していた製造業の荷動きの復調も加わり、ヒトに比べてモノの動きが相対的に活発化している。
 こうして物流の存在感がいや増す一方、業界内にはコロナ禍以前から積み残してきた課題も多く、社会全体の機能不全にも直結しかねないことから、実効性のある対応策が求められている。中でも最も深刻なのが、トラックドライバーを中心とする労働力不足である。労働環境の厳しさから、担い手の確保が懸念されており、近い将来には20万人超の規模で不足が生じるとの予測もある。
 他方、コロナ禍の初期においては、部素材の供給途絶等のリスクが顕在化した。物流の機能を最大限に発揮できるか否かが、企業の競争力を左右すると言われる中で、あらためてサプライチェーンの強靱化、物流の効率化が大きな経営課題となっている。

【社会環境の変化が促す物流の一大変革】
 今年6月、国の物流政策の中長期的な方向性を示す「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」が閣議決定された。この中では、前述の状況を踏まえた上で、今後の物流が目指すべき方向性として、「物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化」、「労働力不足対策と物流構造改革の推進」、「強靱で持続可能な物流ネットワークの構築」という3つの観点を提示し、関連する施策を位置付けている。
 そこで本特集では、コロナ禍を含めて、激変する社会環境への適応を迫られる物流の現在と未来について、「総合物流施策大綱」の方向性とも関連するいくつかのトピックを取り上げ、有識者の方々に専門的見地から解説していただいた。また、本財団からも物流業の設備投資動向に関するレポートを寄せている。
 果たして現下の社会環境の変化は、物流に一大変革をもたらす好機となり得るのか。そして、その影響は地域にどのような形で表れるのか。本特集が物流と地域の今後を探る手掛かりとなれば幸いである。
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≪目次≫

視点
ポストコロナ期における物流のあり方
日本物流学会 会長/東京経済大学 経営学部 教授 中  光政
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談話室
竹本幸夫・豊川市長インタビュー
―ドローンを活用した地域社会の実現を目指して―
豊川市長 竹本 幸夫
聞き手:一般財団法人 日本立地センター 専務理事 上野  透
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特集
物流新時代の幕開けと地域づくり


物流を取り巻く現状と今後の物流政策の方向性

一般財団法人 計量計画研究所 研究本部 交通・社会経済部門 主任研究員 剣持  健
一般財団法人 計量計画研究所 研究本部 交通・社会経済部門   研究員 谷  亮太
一般財団法人 計量計画研究所               業務執行理事 萩野 保克

コロナ禍におけるサプライチェーン再編の動きと拠点配置の考え方
京都産業大学 経営学部 教授 中野 幹久

一般財団法人 日本立地センター 企画調査室 次長 渡邉 章央

世界中の空を利用可能に
―ドローン配送の実現を目指す株式会社トルビズオンの取り組み―
株式会社トルビズオン 代表取締役社長 増本  衛

物流DXが与えるビジネス変革の展望
―DXで変わるスマート物流とスピード経営―
株式会社日通総合研究所 リサーチ&コンサルティングユニット3
シニアコンサルタント 磯村 誠二
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賛助会員を訪ねて
産業振興のポイントを聞く~長崎県の成長戦略~ 
長崎県 産業労働部長 廣田 義美
聞き手:一般財団法人 日本立地センター 常務理事・産業立地部長 高野 泰匡
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関東地域政策研究センター 研究報告
廃校、工場跡地等の未利用地活用推進調査
一般財団法人 日本立地センター 企画調査室長 加藤  讓
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研究ノート
自動車パワートレイン電動化によるサプライヤーへの影響
武蔵大学 経済学部 教授 伊藤 誠悟
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誘致人列伝
北海道千歳市 産業振興部 産業支援室 企業振興課 企業誘致係 主任 佐藤 祐司 氏
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企業立地の動き
2021年6月・7月分(94件)
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伏流水
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