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機関誌「産業立地」バックナンバー一覧

機関誌「産業立地」

VOL.60 No3 2021年5月号
≪目次≫
視点
コロナ禍における地方立地のあり方
大分大学 経済学部 社会イノベーション学科 教授 渡邊 博子

談話室
仁坂吉伸・和歌山県知事インタビュー
―アフターコロナ時代の新しい世界への挑戦―
和歌山県知事 仁坂 吉伸
聞き手:一般財団法人 日本立地センター 専務理事 上野 透

特集
コロナ禍による地方立地の行方

コロナ禍による人口移動及び地価の動向と今後の地方立地への影響
一般財団法人 日本立地センター 企画調査室長 加藤 讓

ポストコロナにおける製造業の地方立地
―「国内回帰」との関係から―
東京大学大学院 総合文化研究科 准教授 鎌倉 夏来

KADOKAWA「所沢キャンパス」が体現する新たなオフィスのあり方
―働き方とオフィスの変革による2拠点体制の実現―
一般財団法人 日本立地センター 企画調査室 次長 渡邉 章央

ルピシアの本社移転に見る脱東京の動き
―企業を呼び寄せる国際観光リゾート・ニセコ町の独自性―
一般財団法人 日本立地センター 企画調査室 次長 渡邉 章央

賛助会員を訪ねて
産業振興のポイントを聞く ~山口県の成長戦略~
山口県 商工労働部長 小関 浩幸
聞き手:一般財団法人 日本立地センター 理事・産業立地部長 高野 泰匡

誘致人列伝
和歌山県橋本市 経済推進部 企業誘致室 室長補佐 阪本 敏一 氏

新規賛助会員紹介
一般社団法人 日本テレワーク協会
株式会社グローバルホーム

資料
2020年(1月~12月) 工場立地動向調査結果(速報)
経済産業省 地域経済産業グループ 地域企業高度化推進課

≪特集≫
コロナ禍による地方立地の行方

【コロナ禍がもたらす地方分散型社会への移行】
人・モノ・金が首都圏に集まる「東京一極集中」。一向に是正の進まない日本の構造的課題とされてきたが、昨年、その様相が一変した。新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言の発令によって、人の密集は活況さのシンボルから忌避すべきリスクへと変わり、人口集中の脆弱さが露呈した。現在のこうした状況を都市集中型社会から地方分散型社会への転換点と捉える向きも少なくない。
これまで首都圏に拠点を構えるメリットについて、多様かつ豊富な人材、政治・経済・文化に亘る高次中枢機能の集中、地方・海外へのアクセス性、「TOKYO」の国際的ブランド力、そして国内最大の消費地であることなど、様々な要素が挙げられてきた。対するデメリットとしては、首都直下型地震による事業継続リスクや高騰するオフィス賃料、ワークライフバランス実現の難しさなどが指摘されていたが、前述のメリットを覆すほどの問題とはみなされてこなかった。しかし、ここに新たに、従業員や家族の健康と生命を脅かす感染リスクが加わった。テレワーク・リモートワークの導入が広く浸透し、ビジネスにおける“場所”や“距離”の概念が変わりゆく中で、首都圏に拠点を置く多くの企業が、従来のメリットとぐっと重みを増したデメリットを天秤に掛けながら、オフィスや事業のあり方について再考を迫られている。

【首都圏・大都市圏をめぐる地方立地の行方】
直近の企業動向として、今年4月発表の経済産業省・関東経済産業局による「地方移転に関する動向調査結果」を見ると、首都圏の1都3県に拠点を置く企業のうち、拠点・機能の移転・分散を検討している企業の割合は約8%、コロナ禍以前を含めてすでに移転・分散を行った企業は約18%に上る。数字の受け取り方は様々だが、強固な「東京一極集中」に風穴が開きつつあることは確かなようだ。
この機を逃すまいと、受け入れ側の自治体も意気盛んだ。直接的な誘致活動が制限される中、首都圏・大都市圏からのオフィス移転をターゲットに据え、またコロナ禍を受けてサプライチェーンの再編を進める製造業・物流業も視野に入れながら、優遇制度の新設・拡充を図る動きが相次いでいる。
そこで本特集では、コロナ禍を契機とした地方立地の新たな方向性を探るべく、本財団からは人口移動と地価の動向から見た今後の地方立地への影響に関するレポートを、また東京大学大学院・鎌倉准教授からは製造業の地方立地の現状と、国内回帰を含めた今後の展望についてご寄稿いただいた。さらに、アフターコロナの企業像を示唆する立地事例として、東京近郊の埼玉県所沢市に新オフィスを開設した㈱KADOKAWA、北海道ニセコ町に本社移転した㈱ルピシアに取材を行った。首都圏・大都市圏をめぐる企業の動きは、果たして地方立地の新たな時代の兆しなのか、あるいは一過性の現象に留まるのか、引き続き注視したい。

企業立地の動き
2021年2月・3月分(101件)

伏流水
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