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機関誌「産業立地」バックナンバー 特集

Withコロナ時代の業界展望

(産業立地2020年9月号特集より)
【戦後最悪の落ち込みとなった日本経済】
 内閣府が9月8日に公表した四半期別GDP2次速報において、今年4~6月期の実質GDPの成長率は前期比マイナス7.9%、年率換算でマイナス28.1%となった。設備投資の下振れ等により、8月公表の1次速報からさらに下方修正され、減少率はリーマン・ショック後、あるいは石油危機後を大きく上回り、事実上戦後最悪の落ち込みとなるなど、あらためてコロナ禍による打撃の大きさが浮き彫りとなった格好だ。7~9月期は、緊急事態宣言の解除、主要国のロックダウン緩和を受けて、プラス成長への回復が予想されているものの、足下では感染収束の気配はなく、経済・産業の先行きは依然として不透明なままである。

【需要・供給の両面に及んだコロナ禍の影響】
 今回のコロナ禍は、個人消費の減退を中心とした需要面だけでなく、工場の稼働停止や物流網の遮断といった供給面にも深刻な影響を及ぼした点で、前述のリーマン・ショックとは様相を異にする。例えば、パンデミックの震源地とされる中国から部品調達していた国内自動車メーカーは、感染拡大の初期局面の1月時点でサプライチェーンが途絶し、国内拠点でも稼働停止や生産調整を余儀なくされた。自動車に続いて、電子機器や住宅建材、医薬品等でも同様の事態が発生し、サプライチェーンの脆弱性が一気に顕在化している。
 こうした事態を受けて、政府が7月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太方針2020)においても、「サプライチェーンの多元化等を通じた強靱な経済・社会構造の構築」が盛り込まれ、経済産業省による「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」の公募(7月22日締切)には、予算額を大きく上回る1,670件もの応募があった。

【Withコロナの時代を生き抜く新たなビジョンの構築を】
 コロナ禍を契機に、あらゆる企業が経営戦略の見直しを迫られている。ここで求められるのは、単なる目先の応急処置ではない。地政学リスクの高まりを受けたグローバル規模の産業構造の変化、労働力不足を補う自動化・省人化・AI化の導入、テレワーク・リモートワークの定着、それらの土台となるデジタルシフトの急加速等々、様々な時流を捉えたWithコロナの時代を生き抜くための新たなビジョンの構築だ。
 そこで今号の特集では、転換期の真っ只中にある国内産業から、日本自動車工業会、日本建設機械工業会、医薬産業政策研究所、シービーアールイー株式会社にご協力いただき、各業界におけるコロナ禍の影響と今後の展望についてご寄稿いただいた。また、国内産業全体への影響については、当財団のレポートにまとめている。本特集が我が国の産業の現在地と歩みゆく先を示すものとなることを願っている。