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機関誌「産業立地」バックナンバー 特集

新型コロナウイルスによる地域経済への影響

(産業立地2020年7月号特集より)
【問われる「新常態」への対応力】
 国内では、5月の緊急事態宣言解除に続き、6月には移動自粛要請も解除され、感染再拡大に身構えつつ、おそるおそる社会・経済活動再開への歩みが進んでいる。
 国内のPCR検査陽性者数は累計20,000人を超え、死亡者数は1,000人(いずれも7月上旬時点)に迫る今回のコロナ禍だが、地域経済への影響については、当初、産業において大きなウエートを占める観光業や宿泊業、飲食サービス業の苦境を中心に伝えられてきた。前例のない緊急事態宣言下でのゴールデンウィーク、入国制限措置によるインバウンドの消滅、東京五輪を含む大型イベントの縮小・延期・中止など、立て続けの需要消失はこうした業種にとって、まさに悪夢のような光景であった。現在、政府主導による「Go Toキャンペーン事業」も検討されているが、需要喚起に向けた効果は未知数と言わざるを得ない。
 一方、各地の製造業も需要減退による生産調整や稼働停止、サプライチェーンの停滞・分断などで大きな打撃を受けており、緊急事態宣言の解除以降も、資金繰りや財務の悪化から廃業に追い込まれるケースが相次いでいる。さらには、Withコロナ期においては、DX推進による事業変革やM&A等の業界再編が加速するとの見方も多く、企業が市場競争力を維持し、持続的成長を成し遂げるには、いわゆる「新常態」への対応力がおおいに問われることになりそうだ。

【今こそ地域経済の実態把握を】
 地域経済の先行きこそ不透明だが、足下では景況感の底打ちを示唆するデータも出始めている。内閣府が公表した今年5月の「景気ウォッチャー調査」によると、景気の現状判断DI(季節調整値)は前月比7.6ポイント増の15.5と、統計開始以来最低となった4月から反転しており、2~3か月先の景気の先行きに対する「先行き判断DI(季節調整値)」も36.5と前月を19.9ポイント上回り、回復傾向が顕著となっている。とはいえ、感染再拡大が起これば、再び自粛・休業が相次ぎ、社会・経済活動の停滞を招くことは明らかであり、楽観できる状況には程遠い。
 それでは、わずかながらでも落ち着きを見せているこの時、我々がなすべきことは何か。自らが拠って立つ基盤の再確認、つまりは地域経済の実態を冷静に把握することであろう。そこで今号の特集では、北海道総合研究調査会、中部圏社会経済研究所、アジア太平洋研究所(関西)、九州経済調査協会という各地域を代表するシンクタンクの方々にご協力を得て、地域経済の現況と今後の展望についてご報告いただいた。また、当財団からも、国内経済の現況を中心としたレポートに加えて、立地・設備投資意向への影響を探るべく急遽実施したアンケート調査結果を取りまとめている。本特集が地域経済回復への手立てを探る一助となれば幸いである。