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機関誌「産業立地」バックナンバー 特集

産業施設の整備・活用

(産業立地2019年7月号特集より)
【ワークスタイルの多様化と立地形態の変化】
 労働人口の減少、生産性向上に向けた働き方改革の推進、ICT導入によるリモートワークの導入拡大等を背景とするワークスタイルの多様化が、非製造業を中心とする企業の立地形態にも大きな変化をもたらしている。
 地方創生を契機として、地方圏におけるサテライトオフィス開設の動きが盛んとなったが、近年は通勤や移動時間の短縮、未活用の人材へのアプローチといった観点から、あえて都市圏の郊外に設置する企業が増えている。一方、都市圏では、個別の占有スペースを有するレンタルオフィスとは異なる形態として、複数の利用者がフリーアドレスで使用するシェアオフィスや、その派生型として、利用者同士がコミュニティを形成し、新事業やアイデアの創出の場とするコワーキングスペースの開設が相次いでいる。また、スタートアップ支援拠点とされてきたインキュベーション施設も、オープンイノベーションの促進やベンチャーエコシステムの確立を担う存在として、あらためてその重要性が見直されている。
 他方、製造業に向けては、地価水準が高く、用地取得が困難な都市圏において、民間活力を利用し、賃貸工場や工場アパートの整備促進を図る動きが見られるほか、地方圏においても、企業立地における産業用地とは別の選択肢として、遊休不動産や廃校施設の活用方策が確立されつつある。

【新たな立地の受け皿を担う産業施設】
 本号の特集では、こうした立地形態の変化に対応すべく、新たな産業施設の整備を推し進める行政・民間等の特徴的な動きを概括する。主な掲載事例は、小規模な賃貸工場を中心とするミニ企業団地等を整備し、入居企業の成長を支援する富山県と県内2市、東京都大田区内における民間企業による工場アパートの新設及び遊休不動産の利活用促進に向けた取組、商業用ビルを改装し、サテライトオフィスとして活用を図る埼玉県秩父市、全国各地でインキュベーション施設を運営する(独)中小企業基盤整備機構、テナント企業の多様な働き方を支援すべく、和歌山県白浜町にワーケーションオフィスを開設した三菱地所㈱など、取組主体も地域も様々である。これに加えて、廃校施設の産業系用途における活用形態についても取りまとめた。用地にとらわれない、柔軟な企業立地の受け皿作りのヒントとなれば幸いである。