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機関誌「産業立地」バックナンバー 特集

ヘルスケア産業

(産業立地2017年11月号特集より)
【診断・治療から予防・健康増進へとシフト】
 世界有数の長寿国である日本。しかし平均寿命と健康寿命の差は10年ほどあり健康寿命を延伸させることが重要となっている。健康寿命とは「健康上の問題がなく、日常生活を送ることができる期間」のことで、健康寿命を伸ばすことは、医療費の削減はもとより、国民の健康増進、さらには関連産業の活性化にもつながる。
 日本では急速な高齢化によって、増え続ける社会保障費が財政を圧迫しており、2016年度の社会保障給付費は118兆円を上回る。医療給付費は現在の約36兆円から2025年度には約54兆円に達する見込みで、介護給付費は現在の約9兆円から2025年度には約20兆円に達するという。
 そんな中、ヘルスケア分野の政策や市場は、診断・治療中心から予防・健康増進、地域包括ケアシステムの実現(生活支援の拡充)へと向かっている。医療や介護、健康増進などの様々なサービスを担うサービス産業に加えて、医薬品や医療機器、福祉用具、介護用品、健康食品などの製造・販売から、その部品・部材やソフトウェアまでと、ヘルスケア産業の領域は幅広い。

【地域特性を生かしたヘルスケア産業の創出を目指す】
 国は「日本再興戦略」において、「国民の健康寿命の延伸」を掲げ、「健康・医療戦略推進本部」の下に「次世代ヘルスケア産業協議会」を立ち上げた。官民連携により「健康寿命延伸産業」の創出・育成を目指し、健康寿命延伸分野における民間の様々な製品やサービスの実態を把握し、供給・需要の両面から課題や問題点を抽出・整理し、対応策の検討を行っている。
 一方、自治体では住民全体の健康寿命の延伸を目標として、地域の特性を生かしたヘルスケアサービスなどの取り組みを始めている。さらに、地域の医療・介護機関、自治体、大学、民間事業者などが集まり、健康・医療に関する地域課題等を共有するとともに、それらの解決方法や新たな事業創出について検討する場として、「地域版次世代ヘルスケア産業協議会」の設置が進められている。
 また企業においても、働く人たちの身心を健康に保つことで、仕事への意欲や生産性を向上させて、企業の業績向上につなげる「健康経営」の考え方や取り組みが広がっている。
今回の特集では、ヘルスケア産業創出に関する国の施策や自治体の取り組み、ヘルスツーリズムなどについて紹介している。